動画の企画・構成

ショート動画の台本の作り方|30秒・60秒の構成例と撮影前のチェック

編集:MdiiiuM / 監修:須平 敦宣

公開 / 更新

三脚に立てたスマートフォンと白いカップ、絵コンテのカードを並べた机
三脚に立てたスマートフォンと白いカップ、絵コンテのカードを並べた机(AI生成イメージ)

この記事の要点

  • 台本を書く前に、視聴者が商品を使う場面で抱く疑問を一つ選び、その答えを動画の中心に置きます。
  • 台本は秒数・映像・セリフ・テロップの欄を分けて書き、30秒版では違いを一つ見せ、60秒版では手順や注意点を加えます。
  • 撮影前に商品を操作しながら声に出して時間を計り、収まらない言葉を削ります。公開後は視聴が減った秒を台本の行と照らし合わせて直します。

ショート動画の台本には、話す言葉に加えて、映すものや画面に出す文字も書きます。商品の特徴を順に並べるだけでは、撮影する場面が決まらず、編集で説明を詰め込みすぎることがあります。

まずは視聴者の疑問を一つ選び、その答えが伝わる場面を組み立てましょう。この記事では、架空の保存容器を使った30秒と60秒の台本例を紹介します。映像・セリフ・テロップの書き分け方から、撮影前の読み合わせ、公開後の見直し方まで解説します。

台本を書く前に視聴者の疑問を一つ選ぶ

短い動画に素材、サイズ、色の展開、価格、使い方をすべて入れると、一つひとつの説明に使える時間はわずかです。伝えたいことを絞るには、視聴者が商品について抱いている疑問を一つ選び、その答えを見せる構成にすると考えやすくなります。

動画で答える疑問は、商品を使う場面から探すと見つけやすくなります。保存容器であれば、作り置きを詰める場面、食べ終えて洗う場面、棚にしまう場面があり、それぞれで「ふたの溝が洗いにくい」「重ねると崩れる」といった困りごとが生まれます。困りごとを疑問の形に書き直し、商品のどの特長がその答えになるかを結び付けると、動画で見せる動作が決まります。

疑問の候補は、問い合わせ窓口に届いた質問やレビュー、店頭や営業の担当者が実際に受けた質問から集めます。社内で伝えたいと考えている点と、お客様が実際に聞いてくる点がずれていることは珍しくないため、両方を一覧にして見比べます。候補が複数残ったときは、答えを映像で見せられる疑問を優先すると、言葉で説明する時間を減らせます。

選ばなかった疑問は、次の動画の題材として一覧に残しておきます。一本の動画で一つの疑問に答える単位で台本を作っておけば、公開後にどの疑問への反応がよかったかを比べやすくなります。商品のどの話題を動画にするか自体がまだ決まっていない場合は、先に商品PRの切り口を洗い出しておくと、疑問の候補が増えます。

映像・セリフ・テロップを分けて台本にする

ショート動画の台本は、撮影する人、話す人、編集する人が同じ紙を見て作業するための設計図です。どの秒に何を映し、何を話し、どの文字を画面に出すかが一つの表で分かれば、撮影の現場で何を撮るのかを話し合う時間が減り、編集でも迷わずに作業を進められます。

Adobeの動画台本の解説でも、視聴者と目的を決めてから構成を考え、場面・動作・セリフを書き分けたうえで、関係者と推敲する流れが紹介されています。

出典:Adobe:動画台本の作り方

秒数・映像・セリフ・テロップの4欄で書く

表の左端には秒数の欄を置き、「0〜4秒」のように区間で書きます。映像の欄には、カメラに映る物と動作を「ふたの裏のパッキンを指でつまんで外す(手元アップ)」のように、撮影者がそのまま撮れる具体さで書きます。「使いやすさが伝わる映像」のように目的だけを書くと、撮影者は何を撮ればよいかを判断できません。

セリフの欄には、出演者やナレーターが実際に口にする言葉を書きます。テロップの欄には、画面で強調したい要点を短く書きましょう。会話の字幕を付ける場合は、手元の動作を隠さない位置に置き、読みやすい量に分けて表示します。音楽や効果音を指定したい場合は、備考の欄を足します。

音声なしで再生しても意味が通るか確かめる

ショート動画は、電車の中や職場など、音を出せない場所で見られることもあります。台本ができたら、セリフの欄を手で隠し、映像とテロップの欄だけを上から読んでみます。それだけで「ふたの溝が洗いにくい」「パッキンが外せる」「溝まで洗える」という流れが分かれば、音声がなくても伝わる台本になっています。

流れが途中で切れる場合は、音声だけが担っている情報があります。商品名、比べている対象、手順の順番などが映像から分からないときは、見せる動作を足すか、テロップや字幕で補います。字幕と強調用のテロップが重なる場面は、文字が多すぎないかも試し撮りで確かめましょう。

30秒の商品紹介台本を作る

保存容器の本体とふた、取り外したパッキンを並べた撮影準備の机
保存容器の本体とふた、取り外したパッキンを並べた撮影準備の机(AI生成イメージ)

ここからは架空の保存容器を例に台本を作ります。実在の商品や実績を示すものではありません。この容器はふたの裏に取り外せるパッキンが付いており、選んだ疑問は「ふたの溝が洗いにくい」です。30秒の動画では、この疑問に対して「パッキンを外せば溝まで洗える」という一つの違いだけを見せます。

秒数は、冒頭の問いかけに4秒、答えの提示に8秒、洗う実演に11秒、締めに7秒を割り当てました。最初の4秒は視聴者が自分の困りごとだと気付くための時間なので、商品名より先に、跡が残った溝の映像を見せます。実演に最も長い時間を使っているのは、洗いやすいかどうかを視聴者が判断するには、言葉より手元の動作のほうが材料になるからです。

表の秒数は、台本を検討するための仮の配分です。話す速さや実演にかかる時間によって必要な長さは変わります。撮影前に商品を操作しながら読み上げ、各区間に収まるかを確かめてください。

台本に入れなかった言葉にも理由があります。「においが残らない」「いつも清潔」といった表現は、会社として試験結果などの根拠を確認できていなければ使えません。この作例では、映像で見せられる「外せる」「溝にスポンジが届く」という事実だけをセリフとテロップに書き、性能や効果を言い切る言葉は入れていません。

【架空の作例】洗いやすい保存容器の30秒台本

0〜4秒
映像
使い終えた容器のふたの裏を手元のアップで映す。溝にソースの跡が残っている
セリフ
「ふたの溝、洗いにくくないですか?」
テロップ
その溝、洗えていますか?
4〜12秒
映像
ふたの裏のパッキンを指でつまんで外し、本体・ふた・パッキンを横に並べる
セリフ
「パッキンを外して、ふたと別々に洗えます。」
テロップ
パッキンは外して洗える
12〜23秒
映像
スポンジでふたの溝とパッキンを洗い、3つのパーツを水切りかごに立てる
セリフ
「溝にスポンジが届きます。洗ったら、別々に乾かせます。」
テロップ
溝までスポンジが届く/パーツごとに乾かせる
23〜30秒
映像
組み立てた容器を重ねて棚にしまう。最後に商品名と商品ページの案内を表示する
セリフ
「サイズや詳しい仕様は、商品ページで確認できます。」
テロップ
サイズ・仕様は商品ページへ

60秒版では使い方と注意点の説明を足す

60秒の台本を作るときに30秒版の各区間をそのまま倍に延ばすと、同じ映像が長く映るだけで、視聴者が得る情報は増えません。60秒版では、30秒版で答えた「洗えるのか」の先にある「どう外して、どう戻すのか」という疑問に答える構成にします。30秒版が違いを知ってもらう動画だとすれば、60秒版は購入を検討している人や購入した人が手順を確かめる動画です。

同じ架空の保存容器について、分解・洗浄・組み立ての手順と注意点を6行に分けたのが次の表です。

30秒版との大きな違いは、14秒以降の区間に「爪をかける位置」「洗う順番」「乾かしてから戻す」といった、視聴者がそのまままねできる動作を入れている点です。注意点の「とがった道具を使わない」「乾かしてから戻す」は、架空の取扱説明書に書かれている前提で作例に入れました。実際の台本では、取扱説明書や商品担当者が確認した内容だけを注意点として使います。

最後の区間では、サイズや食洗機に使える条件を確かめられる商品ページへ案内します。実際の商品を紹介するときは、動画内で伝える使用条件も最新の仕様と照合し、公開後に仕様が変わった場合の修正方法を決めておきます。

【架空の作例】同じ保存容器の60秒台本(分解・洗浄・組み立て)

0〜4秒
映像
外したパッキンを手に持ち、空になったふたの溝を映す
セリフ
「パッキンの戻し方、迷いませんか?」
テロップ
外したパッキン、戻せますか?
4〜14秒
映像
本体・ふた・パッキンを横に並べ、順に指でさす
セリフ
「この容器は、本体、ふた、パッキンの3つに分かれます。今日は外し方と戻し方を見せます。」
テロップ
本体・ふた・パッキンの3パーツ
14〜26秒
映像
ふたの裏の切れ目に爪をかけ、パッキンを手前に引き出す(手元アップ)
セリフ
「ふたの裏の切れ目に爪をかけて、手前に引くと外れます。とがった道具は使わないでください。」
テロップ
切れ目に爪をかけて引く
26〜38秒
映像
パッキン、ふたの溝、本体の順にスポンジで洗い、水切りかごに立てる
セリフ
「パッキンと溝を先に洗い、本体は最後に。洗ったら、パーツごとに立てて乾かします。」
テロップ
小さいパーツから洗う
38〜52秒
映像
乾いたパッキンの角をふたの溝の角に合わせ、一周押し込んでから指でなぞる
セリフ
「戻すときは、よく乾かしてから。角を合わせて、一周押し込みます。浮いている所がないか、指でなぞって確かめてください。」
テロップ
乾かしてから、角を合わせて一周押す
52〜60秒
映像
組み立てた容器を重ねて棚にしまい、商品ページの案内を表示する
セリフ
「サイズや食洗機の対応は、商品ページで確認できます。」
テロップ
サイズ・食洗機の対応は商品ページへ

撮影前に声に出して長さと画を確かめる

表の上で秒数が合っていても、実際に商品を操作しながら話すと時間が足りなくなる場合があります。撮影当日に気付くとその場で言葉を削ることになり、誰も確認していない言い回しが動画に入りやすくなります。撮影の数日前に、本物の商品を使って読み合わせをしておきます。

商品を操作しながら読み上げて秒数を計る

読み合わせでは、台本を読む人とは別の人がスマートフォンのストップウォッチを持ち、区間ごとの時間を記録します。読む人はセリフを読むと同時に、パッキンを外す、スポンジで洗うといった映像欄の動作も実際に行います。読み上げだけなら8秒で終わる区間でも、パッキンが固くて外すのに手間取れば12秒かかることがあり、その差は台本の表を見ているだけでは分かりません。

時間を計るのと並行して、スマートフォンで試し撮りもしておきます。縦長の画面で手元をアップにすると、パッキンの切れ目が指に隠れて見えない、照明が反射して溝の跡が写らないといった問題が見つかります。映像欄に書いた画が撮れない場合は、カメラの位置を変えるか、映像欄の書き方を撮れる内容に直します。

収まらない言葉を削り、担当者の確認を受ける

30秒版の12〜23秒の区間が、読み合わせで15秒かかったとします。この場合は区間を延ばして全体を34秒にする前に、言わなくても伝わる言葉を探します。作例なら「洗ったら、別々に乾かせます」は水切りかごに立てる映像とテロップで伝わるので、セリフから外してテロップだけに残せます。それでも収まらなければ、乾かす場面そのものを60秒版に回します。

削るときは、選んだ疑問に答える言葉を最後まで残します。保存容器の例では「パッキンを外して洗える」がその言葉にあたり、ここを削ると動画を作った目的が失われます。反対に、商品名の繰り返しや「とても」「本当に」といった強調の言葉は、外しても伝わる内容がほとんど変わりません。

削った後の台本は、撮影前に関係する担当者へ回します。商品担当者には仕様や注意点の書き方が正しいか、表現の根拠を確認できる部署には性能や効果を言い切る言葉が入っていないか、撮影担当者には映像欄の画が撮れるかを見てもらいます。誰がどの欄を確認したかを台本の余白に記録しておけば、公開後に表現を直すときの相談先がはっきりします。

動画の目的や公開先そのものがまだ社内で承認されていない場合は、台本より先に企画書をまとめて合意を得ておくと、読み合わせの段階で方針が覆るのを防げます。

伝える疑問の選び方や、30秒版と60秒版の分け方を外部の視点で検討したい方は、MdiiiuMの動画・コンテンツ企画支援をご覧ください。

公開後は視聴が減った箇所から台本を直す

公開した動画は、SNSによっては分析画面で、どの秒で視聴している人が減ったかを確認できます。台本を秒単位で作っておけば、視聴が減った秒を台本の行と突き合わせ、どの区間の映像や言葉に原因がありそうかを考えられます。

冒頭の数秒で大きく減っている場合は、最初の映像と言葉が視聴者の困りごとと結び付いていない可能性があります。保存容器の例なら、溝の跡のアップから始めていた冒頭を、ふたを開けて洗おうとする手元から始める形に変える方法や、問いかけを「ふたの溝、洗いにくくないですか?」から「溝の奥まで、スポンジ届いてますか?」に変える方法があります。冒頭を直すときは一度に一つの要素だけを変えると、どの変更が影響したかを比べられます。

実演の途中で減っている場合は、手元が見えにくい、同じ動作が長く続く、セリフが多くて画面の文字を追いきれないといった原因が考えられます。該当する区間の動画を見直し、区間を短くするか、カットを分けて別の角度から見せる台本に書き換えます。

締めの区間で視聴が減ること自体は、伝えたい内容を見終えた結果である場合も多いため、それだけで失敗とは判断しません。ただし、商品ページの案内に入る前に大きく減っているなら、案内を実演の直後に短く入れるなど、情報の位置を前に移すことを検討します。

再生回数や視聴の続き方は台本を直す手がかりになりますが、それだけで売上や問い合わせへの効果は判断できません。商品ページへの移動や問い合わせの件数など、動画の目的に近い数字を別に記録し、台本を変えた日付と並べて見ていきます。

生成AIを使う場合は、冒頭の問いかけの言い方を何通りか出してもらうといった、選択肢を作る作業に限ると扱いやすくなります。AIが出した案に商品の性能や仕様が含まれていても、その内容は確認されていないため、読み合わせと担当者の確認を経た言葉だけを台本に採用します。

まとめ

ショート動画の台本は、視聴者の疑問を一つ選び、その答えを秒単位の映像と言葉に割り振ることで書けるようになります。最初の一本に取りかかるときは、自社の商品について問い合わせやレビューで実際に聞かれた質問を一つ選び、秒数・映像・セリフ・テロップの4欄を持つ30秒の表に書き込むところから始めてください。

よくある質問

ショート動画は30秒や60秒より長くしてもよいですか?
この記事の30秒と60秒は説明のための作例で、上限を示すものではありません。YouTubeのヘルプでは、標準のチャンネルの場合、2024年10月15日以降にアップロードされた縦長または正方形で3分以内の動画がショートとして扱われると案内されています。長さは答える疑問と手順の量から決め、ほかのSNSで公開する場合は各サービスのヘルプで条件を確認してください。
セリフを一字一句決めると、話し方が硬くなりませんか?
読み合わせで出演者が言いにくい箇所があれば、語尾や言い回しを本人が話しやすい形に直してかまいません。その場合も、商品名、仕様、注意点の言葉は確認済みの表現から変えないと決めておき、言い換えてよい範囲を台本に書いておくと、撮影中の修正で意味が変わるのを防げます。
人が話さず、テロップと音楽だけの動画でも台本は必要ですか?
必要です。セリフの欄がない分、伝える内容はすべて映像とテロップが担うため、各区間で表示する文字と見せる動作をより細かく決めておく必要があります。セリフの欄を音楽や効果音の欄に置き換え、場面が切り替わる秒を書いておくと、編集担当者が音と映像を合わせやすくなります。
一回の撮影で30秒版と60秒版の両方を作れますか?
60秒版の手順を撮るときに、30秒版で使うカットも同じ場所で撮っておけば、一回の撮影で両方の素材をそろえられます。ただし冒頭の問いかけは2本で異なるため、それぞれ別に撮ります。撮影前に2本の台本を並べ、共通して使えるカットと片方だけで使うカットを撮影リストに分けて書いておくと、撮り漏れを防げます。

出典・参考資料

記入例・比較表は、考え方を説明するための編集例です。実際の案件や成果を示すものではありません。

この記事の監修者

放送作家の須平敦宣

須平 敦宣

株式会社MdiiiuM 代表取締役・放送作家

「めざましテレビ」「ガキの使い」「徹子の部屋」などに携わる放送作家。株式会社MdiiiuMの代表として企業の広報や商品PRの企画を提案しています。

プロフィールを見る

監修範囲:本文・作例・支援範囲を含む今回の原稿について、2026-10-14に須平さんの監修済みとユーザーが確認。。監修日:

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