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ショートドラマをPRに使うには? 企画と制作依頼の進め方

編集:MdiiiuM / 監修:須平 敦宣

公開 / 更新

家族の物語を描いた絵コンテとブランドドラマの撮影セットのイメージ
記事テーマのイメージイラスト

この記事の要点

  • ドラマを見た人に覚えてほしいことを決めてから企画を選びます。
  • 商品が登場する理由を主人公の行動から考えると、不自然な説明の台詞を減らせます。
  • 公開する媒体や納品形式を撮影前に伝え、商品表現を誰が確認するかも決めておきます。

気に入ったショートドラマを見て、自社の商品でも作ってみたいと思うことがあります。参考動画を制作会社に見せれば雰囲気は伝わりますが、それだけでは脚本を選ぶ基準が決まりません。商品の使い方を知ってほしいのか、会社への親しみを感じてほしいのかによって合う物語は変わります。

ショートドラマは短い時間で一つの物語を描く映像です。企業が商品や自社の考え方を伝えるブランドドラマにも使われます。ただし物語が印象に残っても、商品や会社まで覚えてもらえるとは限りません。逆に商品説明を台詞に詰め込むと、登場人物の会話が不自然になることがあります。

制作を依頼する担当者に脚本を書く技術がなくても、企画の良し悪しを話し合うことはできます。まずは視聴者に何を覚えてほしいのかを言葉にし、商品を正しく見せるための条件を確認しましょう。

ショートドラマで伝えられることを考える

商品のある暮らしや、会社が大切にする判断を人物の行動で見せたいときは、ドラマの企画を考える余地があります。まず「説明する言葉」から「見せられる場面」に置き換えてみてください。

一方、価格や導入条件を正確に比較してもらうには、仕様表や説明ページも必要です。ドラマを見た人が商品を調べようとしたとき、どこで疑問を解消できるかまで用意します。

期待する反応と、撮影にかかる手間も比べます。短い動画でも、出演者、場所、商品表現の確認は必要です。再生回数が増えても商品が覚えられるとは限らず、購入や問い合わせが増えることも制作だけでは約束できません。

目的から、ドラマに任せる役割を決める

商品の使いどころ
企画で考える場面
困っていた人が商品を使い、次の行動に移る場面
一緒に用意する情報
使い方、仕様、購入先
会社の考え方
企画で考える場面
登場人物が迷ったときに、何を選ぶかが伝わる場面
一緒に用意する情報
事業内容、その考え方に基づく実際の取り組み
料金・機能・導入条件
企画で考える場面
物語にすべて詰めず、関心を持つきっかけに絞る
一緒に用意する情報
比較表、料金、導入までの手順

見た人に覚えてほしいことを決める

最初に「見終わった人が、何を覚えていれば今回の企画の目的に合うか」を一文にします。商品の使い方を見せたいのか、会社の考え方を知ってほしいのかを確認します。企画会議でここをそろえると、脚本への意見にも理由を付けられます。

例えば東京ガスの「母の推し活」篇について、同社の公式発表は、好きなものに熱中する母親を通じて、一人ひとりの暮らしを支える企業の姿勢を描くと説明しています。2023年に放映を始めた企業CMの事例で、MdiiiuMの制作実績ではありません。

この記事では、これを企業の姿勢と登場人物の生活を結びつける例として取り上げます。自社の商品機能を説明する企画でも同じ脚本が合う、という意味ではありません。操作手順を覚えてほしい場合には、実演動画や説明ページを組み合わせる案も比べてください。

出典:「母の推し活」篇の制作意図についての公式発表(東京ガス、2023年)

「忙しすぎる人」に見る商品と物語の結びつけ方

三井住友カードは2024年、父娘のある一夜を描く縦型ショートドラマ「忙しすぎる人」を公式SNSで公開しました。同社の発表では、時間に追われる娘と父の物語に、スマホのタッチ決済を結びつけたと説明しています。

同社が示した狙いは、決済が生活に溶け込む様子を伝え、金融サービスの堅いイメージを変えることです。ここでは制作意図の例として紹介しており、売上などの効果を検証した事例としては扱っていません。MdiiiuMの制作実績でもありません。

企画に応用するなら、商品の特徴と主人公の悩みを一つずつ書き、その二つが同じ場面で関わるかを確かめます。たとえば持ち運べることを伝えるなら、主人公が場所を移す理由まで考えてみます。これは、公開された制作意図を踏まえた本記事の提案です。

出典:縦型ショートドラマ「忙しすぎる人」の公開と制作意図(三井住友カード、2024年2月20日)

主人公が商品を必要とする場面を描く

家族が使うダイニングから作業ライトとパソコンを持って席を移す人物
席を移す動作の中で、ライトを持ち運べることが伝わります。記事の架空の場面を描いたAI生成イメージです。

ここからは持ち運べる架空の作業ライトで考えます。「仕事と家庭を両立する人を応援したい」という方針を、実際に撮影できる場面にしてみましょう。

主人公が夕食後のダイニングテーブルに仕事の資料を広げようとしたところ、家族も同じ場所を使いたいと分かります。主人公が席を移す流れになれば、その際にライトを持っていく動作を物語に入れられます。

このように商品の説明以外の場面も読んでみてください。主人公が何をしたいのか、ほかの登場人物とどんなやり取りがあるのかを確認すると、商品が出てくる理由も考えやすくなります。

台詞で説明する部分と動作で見せる部分を分ける

脚本に「このライト、軽くて持ち運びが便利なんだ」という台詞があるとします。会話の流れに合わないなら、場所を移すときに自然に持っていく動作で伝える案を比べてみます。台詞を残す場合も、その相手にいま説明する理由があるかを読みます。

ただし、動作を見せるだけで伝わらない情報もあります。充電式か、コンセントが必要かで撮り方は変わります。実際は電源が必要な商品を、どこでも点灯するように見せてしまうと、見た人に誤解を与えます。商品担当者には、完成後だけでなく脚本や絵コンテの段階で確認してもらいます。

電通PRコンサルティングの制作側へのインタビューでも、タイアップ作品で商品やロゴの見せ方を調整する話が紹介されています。露出を減らせばよいと一律に決めず、今回覚えてほしい情報が残るかで判断してください。

出典:ショートドラマの特徴と企業活用に関する制作側へのインタビュー(電通PRコンサルティング)

それぞれの脚本で商品がどう伝わるかを比べる

制作側から複数の案が届いたら、好みを伝える前に、それぞれ何が伝わる案かを言葉にします。次の表は作業ライトを題材にした架空の比較例です。再生数や売上を予測したものではありません。

  • 「この場面で商品の何が分かるか」を、脚本の該当箇所に書く。
  • 削っても伝わる商品説明と、残すべき情報を商品担当者と相談する。
  • 判断がつかない箇所は、絵コンテや簡単な実演で確かめる。

架空の作業ライトを使った企画の比較

始まりの場面
案A 引っ越し初日の部屋
荷ほどきの途中で、明日必要な資料を探している
案B 家族と使うダイニング
夕食後、仕事と家族の用事で場所が重なる
主人公の行動
案A 引っ越し初日の部屋
作業する場所を変えながら荷物を整理する
案B 家族と使うダイニング
話し合って席を移し、それぞれの時間を過ごす
商品の出し方
案A 引っ越し初日の部屋
手元を照らすライトを、作業場所へ持っていく
案B 家族と使うダイニング
自分が使うライトを、移った席へ置く
見せられること
案A 引っ越し初日の部屋
持ち運びと置き方
案B 家族と使うダイニング
暮らしの中で使う場面
撮影前の確認
案A 引っ越し初日の部屋
電源の位置、部屋の明るさ、商品が見える角度
案B 家族と使うダイニング
登場人物の会話、人数、テーブル上の物の位置
企画として残る課題
案A 引っ越し初日の部屋
引っ越しの日だけの商品と受け取られないか
案B 家族と使うダイニング
家族の会話に埋もれて商品の役割が消えないか

公開先と商品ページへの案内を撮影前に決める

SNS向けの縦型動画か自社サイト向けの横型動画かを決めてから制作を依頼します。両方使う場合も最初に伝えましょう。二人の会話を横に並べて撮った映像は、後から縦に切り抜くと片方の表情が欠ける場合があります。画角を変えたときに何が見えなくなるかを、撮影前に相談してください。

誰のアカウントで公開するかを決める

公開するアカウントも決めます。自社アカウントで出すのか、制作側や出演者のアカウントでも出すのか、広告として届けるのかで、必要な合意と費用が変わります。完成品を受け取ってから、誰が投稿するかを探し始めることは避けたいところです。

商品を詳しく紹介するページへ案内する

商品を詳しく知りたい人の行き先も用意します。作品中の商品名、投稿文、プロフィールから、正しい商品ページにたどり着けるかを確認してください。企業の姿勢を伝える企画なら、作品の背景や関連する取り組みを読めるページも候補になります。

見積もりの前に納品物と確認手順をそろえる

依頼先を比べるときは、似た目的の制作事例を見せてもらい、企画・脚本・撮影・配信のどこを担当したかを聞きます。完成映像の雰囲気だけでなく、商品を物語に組み込んだ理由と、商品担当者が脚本を確認する手順も説明してもらうと、今回頼みたい範囲と合うか判断しやすくなります。

「短いドラマを1本」だけでは、見積もりの前提がそろいません。本編に加えて短縮版、字幕の有無、縦横それぞれの動画が必要なら、依頼時に伝えます。商品画像や投稿用の静止画も必要か、先に確認しましょう。

修正については回数だけでなく、誰の確認をどの段階で受けるかを決めます。撮影後に「この台詞は商品仕様と違う」と分かると、字幕の変更だけでは直せず、追加の撮影や録音が必要になる可能性があります。商品表現は撮影前、字幕の表記は編集後など、確認内容を分けておくと判断しやすくなります。

次の表を制作会社への依頼メモに使えます。決まっていない箇所は未定と書き、提案してほしい範囲を伝えてください。

制作会社に伝える依頼メモ

今回の目的
視聴後に覚えてほしいこと。社内で合意済みか、相談から始めたいか
配信
掲載先、投稿するアカウント、広告配信の予定
納品物
本編と短縮版の本数・尺・縦横比、字幕、静止画の要否
撮影
出演者や場所の候補、持ち込める商品・素材
使用条件
映像・出演・音楽を使う媒体と期間、別の広告への転用予定
確認
商品担当と最終承認者、脚本・撮影前・編集後の確認日
予算と日程
制作と配信に使える予算、公開希望日、動かせない締切

脚本にする前の企画や制作会社への依頼内容は、MdiiiuMの動画企画相談でも一緒に考えられます。

物語への反応と商品への関心を確かめる

公開後のコメントに「続きが見たい」とあれば、物語への反応です。「この商品はどこで買えるか」という質問なら、商品の情報を探している人がいます。どちらも記録しつつ、今回の目的に対して何が起きたかを振り返ります。

再生数だけで次回の企画を決めず、見られた場面、離脱した場面、商品ページへのアクセスなど、取得できるデータを合わせて見ます。企業の印象が変わったかを知りたい場合は、それを確かめる調査も必要です。再生数の伸びだけで、ブランドへの好意や売上が増えたとは言えません。

まとめ

制作会社に相談するときは、視聴者に覚えてほしいことと公開する媒体を伝えましょう。商品仕様のうち誤解してほしくない点も共有しておくと、脚本を確認する際に具体的な意見を返せます。企画から配信まで誰が担当するかを決め、撮影前に必要な確認を済ませることが大切です。

よくある質問

商品名やロゴは、何回出せばよいですか?
一律の回数で決めず、どの場面なら自然に分かるかを脚本で確認します。商品を使う動作、パッケージ、最後の画面など候補を比べ、視聴後に商品を探せる情報が残るかも確かめてください。
短いドラマなら、制作費も安くなりますか?
尺だけでは判断できません。短くても複数の場所で撮影したり、出演者が多かったりすれば、その準備が必要です。見積もりでは、本数・撮影条件・納品形式・使用期間をそろえ、配信費用が含まれるかも確認します。
完成した横型の動画を、後から縦型にもできますか?
素材によります。中央を切り抜くと人物や商品が欠けることがあり、字幕も配置し直す必要があります。両方の形式を使う予定があれば、撮影前に構図と納品物を相談してください。

出典・参考資料

記入例・比較表は、考え方を説明するための編集例です。実際の案件や成果を示すものではありません。

この記事の監修者

放送作家の須平敦宣

須平 敦宣

株式会社MdiiiuM 代表取締役・放送作家

番組づくりの経験をもとに企業の広報や商品PRの企画を提案しています。商品を紹介する話題の選び方やプレスリリースの書き方についても相談を受けています。

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監修範囲:ドラマの適性、物語と商品の関係、企画比較表の判断項目。監修日:

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