
この記事の要点
- PRの目的は、営業担当がお客さんから聞かれたことや商談で困ったことを手がかりに決めます。
- 商品の魅力を伝えるには、特徴を説明できる写真や使用場面を探すことが大切です。
- 企画が決まったら担当者と確認期限を決め、公開後の反応を確かめる方法も用意します。
「来期はPRに力を入れたい」と言われても、何から始めればよいのか迷うことがあります。SNSや動画などの候補を挙げる前に確かめたいのは、今の仕事のどこで情報が伝わらずに困っているかです。商品の名前を知ってもらいたい場合と、価格の理由を理解してもらいたい場合では必要な企画が変わります。
PR戦略とは、誰に何を伝え、そのためにどの活動へ時間と予算を使うかを決める方針です。顧客への商品紹介だけでなく、採用候補者や地域の人との関係づくりが目的になることもあります。この記事では商品PRを例に、営業担当への聞き取りから企画を選ぶまでの手順を説明します。
売り場や商談で何が伝わっていないかを調べる
例えば「商品は知られているが、商談では安い競合に負ける」という状況を考えます。この場合、商品名を見せる機会を増やすだけでは、価格差を納得してもらう説明が足りないままです。先に調べたいのは、買った人が何を評価し、見送った人が何に迷ったかです。
最初の打ち合わせでは、営業担当に直近の商談を振り返ってもらいましょう。「どんな質問をされたか」「何を説明したら話が進んだか」「最後まで残った不安は何か」。会社の強みを広く聞くより、実際に交わした言葉を集めた方が、発信に足りない情報を探せます。
聞いた内容は「○○を検討している人に、△△が伝わっていない」と書きます。まだ商談がない新商品なら、想定顧客への聞き取りで確かめる項目として残してください。社内の予想と、お客さんが実際に話したことを混ぜないようにします。
目的が会社への信頼や採用であれば、聞く相手も変わります。例えば採用候補者に仕事内容が伝わっていないなら、人事担当に面接で繰り返される質問を聞き、社員の一日の仕事を紹介する案を考えます。目的が違う企画を、すべて商品の売上だけで評価しないようにしましょう。
商談の状況から、先に伝えることを選ぶ例
- 初回商談で会社や商品の説明に時間がかかる
- 最初に調べること
- 相手が何を知らずに来たか
- 発信の候補
- 使用場面と導入手順をまとめた紹介記事
- 競合との価格差を説明しても納得されない
- 最初に調べること
- 購入した顧客が評価した違い
- 発信の候補
- 工程・素材・サポートの違いを示す企画
- 興味は持たれるが、社内検討で止まる
- 最初に調べること
- 担当者が上司に説明しにくい点
- 発信の候補
- 導入条件や運用の負担を説明する資料
| 今起きていること | 最初に調べること | 発信の候補 |
|---|---|---|
| 初回商談で会社や商品の説明に時間がかかる | 相手が何を知らずに来たか | 使用場面と導入手順をまとめた紹介記事 |
| 競合との価格差を説明しても納得されない | 購入した顧客が評価した違い | 工程・素材・サポートの違いを示す企画 |
| 興味は持たれるが、社内検討で止まる | 担当者が上司に説明しにくい点 | 導入条件や運用の負担を説明する資料 |
商品を使う場面まで考えて対象者を決める

持ち運べる作業ライトという架空の商品で考えてみましょう。「在宅勤務をする30代」だけでは、机が暗くて困っているのか、ライトを置く場所がないのかまでは分かりません。
「専用の書斎がなく、夕食後のダイニングで仕事をする人」なら使う場面が見えてきます。食事の前に片づけたり別の部屋へ持っていったりするため、明るさに加えて重さや収納のしやすさも伝える候補になります。
ただし、この使い方が実際の顧客に当てはまるかは確認が必要です。購入後のアンケートなどで確かめる前に「人気の使い方」として紹介しないようにしましょう。
「品質が高い」と説明する根拠を探す
会社案内にある「高品質」「使いやすい」「こだわり」といった言葉を、そのまま見出しにしても違いは伝わりません。例えば使いやすさを伝えたいなら、何をする動作が楽になるのか、その動作を写真や動画で見せられるかを考えます。
次の表は、資料の言葉を具体化するための編集例です。右欄の事実や素材が自社にあるかを先に調べ、その後で見出しを決めます。都合のよい理由を後から付けると、取材や問い合わせを受けたときに説明できません。
商品資料の言葉を具体化する例
- 品質にこだわっています
- 担当者に聞くこと
- どの工程で、何を測って合否を決める?
- 発信に使う材料
- 検査工程の写真、公開できる検査基準
- 使いやすさを追求しました
- 担当者に聞くこと
- 試作品のどこを、なぜ変えた?
- 発信に使う材料
- 旧案と採用案の比較、開発担当者の説明
- お客さまの声から生まれました
- 担当者に聞くこと
- どんな声を受けて、何を変更した?
- 発信に使う材料
- 掲載許可のある声、変更前後の仕様
| 資料にある言葉 | 担当者に聞くこと | 発信に使う材料 |
|---|---|---|
| 品質にこだわっています | どの工程で、何を測って合否を決める? | 検査工程の写真、公開できる検査基準 |
| 使いやすさを追求しました | 試作品のどこを、なぜ変えた? | 旧案と採用案の比較、開発担当者の説明 |
| お客さまの声から生まれました | どんな声を受けて、何を変更した? | 掲載許可のある声、変更前後の仕様 |
用意できる素材と人手を確かめて媒体を選ぶ
作業ライトを使う場所の変化を見せるなら、持ち運びや設置を映した短い動画が候補になります。開発時の判断を伝えるなら、試作品の写真と担当者の話を組み合わせた記事も考えられます。伝えたいことが同じでも、必要な準備は違います。
撮影と確認を担当する人へ相談する
ここで、素材を持っている人、撮影に協力する人、内容を承認する人へ相談します。社長のインタビューを企画しても時間が取れない、工場を見せたくても撮影許可が下りない、と分かれば別案が必要です。発表日だけを先に決めると、準備できる素材に合わせて内容を削ることになります。
公開後に届ける方法も決める
媒体を選ぶ理由は「流行しているから」で終えず、「この人に、この場面を見てもらうため」と書きましょう。自社で公開する記事や動画なら、誰が最初に見に来るかまで考えます。既存顧客への案内、営業資料からのリンク、広告など、届けるための作業も計画に含めます。
媒体や企画を選びきれないときは、MdiiiuMの商品PR支援で相談できる内容をご紹介しています。
企画と担当者をPR戦略シートにまとめる
選んだ企画を次のような1枚のシートにまとめます。表は前述の作業ライトを使った架空の記入例です。未定の欄には確認する相手と期限を書いておくと、次の会議で何を決めるべきかが分かります。
たとえば制作担当が決まっていないなら、社内で撮影するか外注するかを先に相談します。担当者が用意できる素材や作業時間を確かめてから、公開までの日程を決めましょう。
PR戦略シートの記入例(架空の作業ライト)
- 読者・視聴者
- 専用の書斎がなく、ダイニングで仕事をする人
- 伝えたいこと
- 仕事をする場所に合わせて、置き場所を変えて使える
- 企画
- 食事の準備から仕事の開始まで、ライトを動かす場面を撮る
- 先に確かめること
- 実際の利用者にも同じ使い方があるか。商品担当が聞き取る
- 必要な素材
- 実物、寸法と重さ、撮影できる部屋、実演する人
- 公開後の案内
- 投稿から、寸法・電源・設置条件を確認できる商品ページへ
- 担当と締切
- 広報が構成案を作成。商品担当の確認日を確保して撮影を手配
- 見直す材料
- 商品ページへのアクセス、設置条件の質問、商談での反応
| 決めること | 記入例 |
|---|---|
| 読者・視聴者 | 専用の書斎がなく、ダイニングで仕事をする人 |
| 伝えたいこと | 仕事をする場所に合わせて、置き場所を変えて使える |
| 企画 | 食事の準備から仕事の開始まで、ライトを動かす場面を撮る |
| 先に確かめること | 実際の利用者にも同じ使い方があるか。商品担当が聞き取る |
| 必要な素材 | 実物、寸法と重さ、撮影できる部屋、実演する人 |
| 公開後の案内 | 投稿から、寸法・電源・設置条件を確認できる商品ページへ |
| 担当と締切 | 広報が構成案を作成。商品担当の確認日を確保して撮影を手配 |
| 見直す材料 | 商品ページへのアクセス、設置条件の質問、商談での反応 |
公開後の反応から説明の不足を見つける
再生数や掲載件数は、どれくらい見られたかを知る手がかりです。今回の作業ライトの企画なら、それに加えて商品ページへのアクセスや、設置条件についての質問も見ます。
例えば動画は見られているのに商品ページへ進まないなら、リンクの位置や案内文を見直す余地があります。商品ページへ進んでも「電源はどこから取るのか」と聞かれるなら、説明が足りないかもしれません。数値が悪いから動画を全部作り直す、と決める前に、どこで止まっているかを調べます。
営業担当にも、公開した記事や動画を見せた後の反応を聞きましょう。「この資料を見てもらうと説明が早い」という声は、次に残したい内容を考える材料になります。売上を見る場合は、価格変更や同時期の広告の影響も確認し、PRの成果と決めつけないことが必要です。
まとめ
PR戦略を考えるときは、営業担当がお客さんから受けた質問を集めてみてください。今の商品資料では答えられない質問があれば、そこから次の企画を考えられます。必要な写真や説明できる人を確認したうえで媒体を選ぶと、実施するための準備も進めやすくなります。
よくある質問
- 社長から「とにかくテレビに出たい」と言われたら、何を確認すればよいですか?
- 出演によって何が変わると成功なのかを聞きます。新商品の購入、営業先への信用、採用での認知では、伝える内容も対象者も違います。その目的をそろえてから、番組に提供できる題材と、テレビ以外も含めた候補を検討します。
- 一人で広報を担当しています。SNSやプレスリリースを全部やるべきですか?
- まず一つの企画に必要な作業を書き出してください。取材、原稿、写真、社内確認、公開後の問い合わせまで含め、確保できる時間と比べます。続ける担当者や確認者が決まらない媒体は、着手を後にする選択もあります。
- PR会社に相談する前に、戦略を完成させる必要はありますか?
- 方針づくりから依頼するなら、完成していなくても相談できます。商品資料、最近の問い合わせ、過去の施策と反応、使える予算と時期を用意すると話が進みます。「方針を決めたい」のか「決まった企画を実行してほしい」のかも伝えてください。
出典・参考資料
- 参考資料:PR戦略立案の考え方(株式会社プラスカラー)確認日:2026-10-13
記入例・比較表は、考え方を説明するための編集例です。実際の案件や成果を示すものではありません。
この記事の監修者

須平 敦宣
株式会社MdiiiuM 代表取締役・放送作家
番組づくりの経験をもとに企業の広報や商品PRの企画を提案しています。商品を紹介する話題の選び方やプレスリリースの書き方についても相談を受けています。
プロフィールを見る監修範囲:最初の聞き取り、発信に使える材料の探し方、企画を選ぶ判断。監修日:
MdiiiuMのサービス
商品・サービスのPR相談
MdiiiuMでは放送作家やプロデューサーが商品資料を読み、PRで伝える内容や見せ方を一緒に考えます。社内で出た案を選びきれないときや、商品の説明から企画へ進めないときにご相談ください。現在使っている資料があれば、どこを見直せるかという話から始められます。
詳しくは商品・サービスのPR相談のご案内をご覧ください。