
この記事の要点
- ニュースバリューとは、読者や視聴者に知らせる価値があるかをメディアが判断するときの考え方です。
- 何が変わるのか、誰に関係するのかを説明し、取材で確かめられる事実を用意します。
- 報道の題材になりにくい情報でも、店舗サイトなどで顧客に直接案内する方法があります。
新しいサービスを発表したのに、プレスリリースへの反応がないことがあります。「ニュース性が弱い」と言われても、どこを直せばよいのか悩むかもしれません。見出しを変える前に考えたいのは、その発表が送り先の読者にどう関係するかです。
ここではニュースバリューの意味を説明し、自社の題材を見直す方法を紹介します。架空の家具修理店の発表を例に、今ある情報で伝えられることと追加の確認が必要なことを考えていきます。
ニュースバリューとは読者に知らせる価値のこと
ニュースバリューは、日本語ではニュース価値・報道価値などと表されます。企業が発表したい情報について、メディアは自分たちの読者・視聴者にとって知る意味があるかを考えます。「会社として大切な発表」と「その媒体が今取り上げる題材」は、いつも一致するわけではありません。
PR TIMESの解説でも、読者にとっての意味や報道する価値を判断する考え方として説明されています。単に注目された回数や、広告枠の金額を表す言葉ではありません。
SNSでたくさん反応された話題でも、取材したい人物や確認できる事実が見つからなければ、番組の企画にはしにくいことがあります。反対に、大きく拡散していなくても、地域の暮らしや専門分野に深く関わる話題は、その読者に知らせる意味を説明できます。
発表内容に関心を持つ読者と媒体を考える
地域の修理店が受付日を増やす話なら、その地域に住む人には利用できる日が変わる情報です。全国向けの経済媒体に送るなら、業界の動きや他社にも関わる変化を示せるか、別の検討が必要になります。同じ文章をどこへ送っても意味が伝わるとは限りません。
媒体が誰に何を伝えているかを読む
候補媒体の最近の記事や番組を読み、何を題材にし、誰へ話を聞き、どんな資料を使っているかを見ます。単に自社と同じ業種の記事があるかではなく、読者が何を知るための内容かを確認してください。
今回知らせる理由を日付とともに示す
時期も具体的にします。「今注目のテーマだから」だけでは弱く、受付の開始日、公開できる調査の時期、実際の現場を見られる日など、今回知らせる理由を自社の動きと結びつけます。
ニュース性を確かめるための質問と資料
次の表は、企画を説明するために何を調べればよいかを考えるためのものです。答えられない質問があれば、確認する相手や資料を書き出してみてください。取材される確率を算出する表ではなく、すべての項目を一つの題材に盛り込む必要もありません。
新しい商品なら以前の商品から何が変わったのかを、社会に関わる取り組みなら誰の生活や仕事にどう影響するのかを調べます。社内で当たり前だと思っている工夫も、外から見れば紹介する価値があるかもしれません。
自社の題材を見直すための確認表
- 以前と何が変わったか
- 説明に使う材料
- 変更前後の条件、開始日、仕様や運用の記録
- まだ弱い状態
- 「新しい」「画期的」という形容だけがある
- 誰の生活・仕事に関係するか
- 説明に使う材料
- 利用対象、実際の困りごと、関係者への聞き取り
- まだ弱い状態
- 「社会課題を解決する」とだけ書いてある
- なぜ今知らせるのか
- 説明に使う材料
- 実施日、募集の時期、現場を見られる機会
- まだ弱い状態
- 暦や流行語との関係だけを後付けしている
- ほかと違う点を確かめられるか
- 説明に使う材料
- 比較条件、設計の理由、自社の記録
- まだ弱い状態
- 比較せずに「唯一」「初」と言っている
- 誰に話を聞き、何を見られるか
- 説明に使う材料
- 説明できる人、許可を得た現場、写真・資料
- まだ弱い状態
- 資料以外に確認する先が決まっていない
| 確認する問い | 説明に使う材料 | まだ弱い状態 |
|---|---|---|
| 以前と何が変わったか | 変更前後の条件、開始日、仕様や運用の記録 | 「新しい」「画期的」という形容だけがある |
| 誰の生活・仕事に関係するか | 利用対象、実際の困りごと、関係者への聞き取り | 「社会課題を解決する」とだけ書いてある |
| なぜ今知らせるのか | 実施日、募集の時期、現場を見られる機会 | 暦や流行語との関係だけを後付けしている |
| ほかと違う点を確かめられるか | 比較条件、設計の理由、自社の記録 | 比較せずに「唯一」「初」と言っている |
| 誰に話を聞き、何を見られるか | 説明できる人、許可を得た現場、写真・資料 | 資料以外に確認する先が決まっていない |
家具修理店の発表を具体的に書き直す例

ここでは、家具の修理受付を土曜日にも行うようにした架空の店舗を考えます。最初の資料には「環境にやさしい取り組みで、地域の暮らしを支えます」とだけ書かれていた設定です。これでは、何が変わり、何を取材できるかが分かりません。
確認した結果、土曜日の受付開始日、相談できる家具の種類、職人が店頭で説明できる日時が分かったとします。資料は「平日に来店できない人も相談できるよう、土曜日の受付を開始。職人が椅子の状態を見て修理できる範囲を説明する」という内容に直せます。
ここで言えるのは、受付の変更と説明できる内容です。「捨てられる家具が大幅に減った」「修理を選ぶ人が急増した」とまでは言えません。その効果を示す記録がなければ、確認済みの取り組みと今後確かめたい変化を分けて伝えます。
架空の店舗で、追加確認する項目
- 土曜日にも相談を受け付ける
- まだ確かめたいこと
- 開始日、予約の要否、対応できる家具
- 確認先
- 店長と受付案内
- 修理を相談する人がいる
- まだ確かめたいこと
- 相談者の困りごとを公開できるか
- 確認先
- 本人の意向と担当者の記録
- 職人が作業を説明できる
- まだ確かめたいこと
- 撮影可能な工程、日程、映してよい物
- 確認先
- 職人と現場責任者
- 環境への貢献を伝えたい
- まだ確かめたいこと
- 修理件数など、実績として示せる記録があるか
- 確認先
- 受付台帳。推測だけなら効果の断定を見送る
| 今ある材料 | まだ確かめたいこと | 確認先 |
|---|---|---|
| 土曜日にも相談を受け付ける | 開始日、予約の要否、対応できる家具 | 店長と受付案内 |
| 修理を相談する人がいる | 相談者の困りごとを公開できるか | 本人の意向と担当者の記録 |
| 職人が作業を説明できる | 撮影可能な工程、日程、映してよい物 | 職人と現場責任者 |
| 環境への貢献を伝えたい | 修理件数など、実績として示せる記録があるか | 受付台帳。推測だけなら効果の断定を見送る |
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数字の根拠と調べた範囲を説明する
数字を使うなら、期間、対象、件数、比較の基準を一緒に書きます。「問い合わせが増えた」なら、いつといつを比べたのか、同じ窓口・同じ集計方法なのかを確認します。小さな店舗の記録から、日本全体の傾向へ話を広げないようにしてください。
「業界初」と書く前には、何をどこまで調べたのかを説明できるか確認します。調査が足りない場合は、確認できる自社の変更や具体的な特徴を示す方が、取材で質問されたときに答えやすくなります。
社会の話題と結びつける場合も、言葉が似ているだけで採用しないようにします。家具の修理なら、実際に修理した物や相談内容がその課題にどう関係するかを確かめます。確認できる範囲から企画を組み立てます。
情報が足りなければ追加の取材や別の伝え方を考える
題材を見直すときは、何を追加で確かめれば説明できるかを考えます。職人への取材許可がまだなら日程を調整し、問い合わせの増加を示す記録がなければ数字を使わずに説明します。足りない部分に応じて次の作業を決めましょう。
報道の題材としては弱くても、顧客には必要な情報かもしれません。修理の受付時間や持ち込める物の一覧なら、店舗サイトや来店者への案内に掲載できます。必要とする人に直接知らせる方法も考えてみてください。
返信がないというだけで取材につながらなかった理由を断定することはできません。次に提案するときは送り先や時期を見直し、新たに確認できた事実や撮影できる場面があれば資料へ加えます。
まとめ
発表したい話題が決まったら、それが誰にどう関係するのかを説明してみましょう。説明に必要な情報が足りなければ現場に聞き、根拠となる資料を集めます。見出しを強くすることよりも、読者にとっての意味を具体的な事実で示すことが先です。
よくある質問
- ニュースバリューが高ければ、必ず取材されますか?
- 取材は保証されません。媒体の関心、制作日程、同じ時期のほかの話題、取材できる条件などでも判断が変わります。評価表は採用確率を計算するものではなく、説明に足りない材料を見つけるために使います。
- BtoBの商品にもニュース性はありますか?
- 業務の手順、働く人の負担、取引先に関わる変化などから考えられます。一般の視聴者向けに伝わりにくい場合は、業界紙や専門メディアの読者にとって、何が変わる情報なのかを説明できるか確認します。
- ニュース性と話題性はどう違いますか?
- この記事では、話題性を人の関心や会話を集める性質、ニュース性をメディアが報道する意味を考える性質として使っています。両者は重なることがありますが、反応が多いだけで取材が決まるわけではありません。媒体の読者との関係と、裏付けを確かめます。
出典・参考資料
- ニュースバリューの定義と情報を見直す視点(PR TIMES MAGAZINE)確認日:2026-10-13
記入例・比較表は、考え方を説明するための編集例です。実際の案件や成果を示すものではありません。
この記事の監修者

須平 敦宣
株式会社MdiiiuM 代表取締役・放送作家
番組づくりの経験をもとに企業の広報や商品PRの企画を提案しています。商品を紹介する話題の選び方やプレスリリースの書き方についても相談を受けています。
プロフィールを見る監修範囲:ニュース価値の説明、媒体に応じた題材の評価、根拠が足りない場合の判断。監修日:
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