
この記事の要点
- 脚本家は映画やドラマなどの物語を、場面・台詞・人物の動作として書きます。
- 調査やあらすじづくりから関わり、監督やプロデューサーとの打ち合わせを経て原稿を修正します。
- 企業が依頼するときは、視聴者と目的に加え、出演人数や撮影場所、公開先などの条件を伝えます。
脚本家とは、映画やテレビドラマ、舞台などで使う脚本を書く人です。物語の展開を考え、登場人物がどの場面で何を話し、どう行動するのかを文章にします。シナリオライターと呼ばれることもあります。
脚本には、出演者が口にする台詞のほかに、場所や時間、人物の動作も書かれています。この記事では、脚本家の仕事内容と関連する職種との違いを説明し、短い場面の例を使って執筆の考え方を紹介します。後半では、企業が動画の脚本を依頼するときに用意したい情報もまとめます。
脚本家の仕事内容と執筆の流れ
脚本家の仕事には、物語を書くための準備と、書いた原稿を制作チームと検討する作業があります。依頼を受けたら題材を調べ、物語を組み立て、打ち合わせを重ねながら原稿を仕上げます。
企画を確認し、調査をもとにあらすじを考える
まず、誰に向けてどのような作品を作るのかを確認します。題材や登場人物が決まっている場合もあれば、脚本家が企画から提案する場合もあります。専門的な仕事を描くなら、現場の人への取材や資料の確認も必要になります。
次に、出来事の順番や人物の変化をあらすじにまとめます。たとえば主人公が最後に仕事を辞める物語なら、その決断に至る出来事をどこで見せるかを考えます。台詞を書き込む前に展開を共有しておくと、関係者が物語の方向について話し合えます。
場面ごとの台詞とト書きを書く
あらすじを場面に分け、それぞれに台詞とト書きを書きます。ト書きとは、台詞以外の動作や状況を示す文章です。「封筒を差し出す」「返事を待たずに席を立つ」といった記述も、人物の気持ちや関係を伝える材料になります。
映像では、文章に書いた心情がそのまま画面に出るわけではありません。脚本では、出演者が行う動作や、画面に映るものとして気持ちを示す必要があります。気持ちを説明するだけで終えず、何を見たり聞いたりすれば伝わるかを考えるのが脚本の特徴です。
制作チームと話し合い、原稿を直す
初稿ができたら、監督やプロデューサーなどと内容を検討します。物語の意図が伝わるか、予定の長さに収まるか、撮影できる場面かを確かめ、完成に向けて直していきます。
企業の動画であれば、商品名や説明の事実確認もこの過程に含めます。担当者ごとに異なる修正指示が届くと、どの意見を採用すればよいか分からなくなります。依頼側で意見を集約し、変更したい箇所と理由をまとめて伝えると、脚本家も修正の方向を判断しやすくなります。
シナリオライター・放送作家・監督との違い
脚本家とシナリオライターは、同じ仕事を指す呼び方として使われます。一方、番組の構成を考える放送作家や、演出を担う監督とは、主に受け持つ仕事が異なります。一人が複数の仕事を兼ねることもあるため、肩書と担当範囲を併せて確認しましょう。
映像制作での主な担当範囲
- 脚本家・シナリオライター
- 物語の展開、場面、人物の台詞や動作を脚本にする
- 放送作家・構成作家
- 番組やコーナーの企画、紹介する順番、進行や質問などを考える
- 監督・ディレクター
- 演技や映像・音の表現を検討し、作品として形にする
- プロデューサー
- 企画や予算、スタッフ、日程を調整して制作を進める
| 職種 | 主に担当すること |
|---|---|
| 脚本家・シナリオライター | 物語の展開、場面、人物の台詞や動作を脚本にする |
| 放送作家・構成作家 | 番組やコーナーの企画、紹介する順番、進行や質問などを考える |
| 監督・ディレクター | 演技や映像・音の表現を検討し、作品として形にする |
| プロデューサー | 企画や予算、スタッフ、日程を調整して制作を進める |
短い場面で見る脚本の書き方

ここでは、社員同士の行き違いを描く架空の場面を考えてみます。元の説明は「後輩は相談できずに困り、先輩も気まずく感じている」です。この一文だけでは、出演者が何をすればよいのか、どの場面を撮るのかが決まりません。
そこで、始業前の休憩室を舞台にします。後輩は相談用の書類を持って入ってきますが、先輩と目が合うと書類を裏返します。先輩はそれに気づき、隣の椅子に置いていた荷物をどけて「ここ、座る?」と声をかけます。後輩が座り、書類を表に戻したところで次の場面へ進みます。
人物の行動が変わる瞬間を決める
この例では、相談をためらう様子を「書類を裏返す」という動作で示しました。先輩が椅子を空けると、後輩は座って書類を出せるようになります。会話を長く説明する代わりに、二人の関係が少し変わるきっかけを場面の中に置いています。
同じ台詞でも、先輩がスマートフォンを見ながら言うのか、仕事の手を止めて言うのかで印象は変わります。脚本家は物語に必要な動作を考え、細かな表情や間の取り方は監督や出演者とも相談しながら作っていきます。
企業の伝えたいことと場面の関係を確かめる
この場面を社内向けの動画で使うなら、視聴後に何について話してほしいかも決めます。「相談しやすい会社です」と説明するだけよりも、声のかけ方について意見を交わす材料にできます。ただし、動画の中で描いた職場が実際の会社の姿を表しているかは、企業側で確認が必要です。
商品PRの場合も、台詞に商品説明をすべて詰め込む前に、人物が商品を使う理由を考えます。物語と商品の関係を詳しく検討したい場合は、ショートドラマPRの記事も参考にしてください。
脚本家になるには、作品を書いて人に読んでもらう
脚本家を目指す方法には、公募への応募、養成講座での学習、自主制作への参加などがあります。制作現場や別の執筆分野で経験を積み、脚本の仕事へ進む人もいます。特定の経歴だけで決まる仕事ではありません。
まずは短い作品を最後まで書き、読んだ人がどこで迷ったか、人物の行動をどう受け取ったかを聞いてみましょう。「面白かったか」だけでなく、想像できなかった場面を確かめると、次に直す箇所が分かります。応募する場合は、その公募の最新の募集要項で作品の長さや提出条件を確認してください。
企業が脚本を依頼するときに伝えたい情報
動画の脚本を依頼するときは、完成したアイデアがなくても、誰に何を伝えたいかを用意すると相談が進みます。あわせて、使える場所や出演者、商品資料など、すでに分かっている制作条件を共有してください。
依頼範囲は、あらすじの提案から頼むのか、決まった企画の台詞を書いてもらうのかで変わります。修正を確認する担当者と、原稿を確定する時期も相談しておくと、撮影の準備につなげやすくなります。
脚本の相談前にまとめるメモ
- 視聴者と目的
- 誰に見てもらい、視聴後に何を理解してほしいか
- 題材と事実
- 商品資料や取材内容、必ず入れたい情報とその根拠
- 制作条件
- 公開先、動画の長さ、本数、出演人数、撮影できる場所
- 依頼する仕事
- 企画・取材・あらすじ・脚本のどこから相談したいか
- 進行と利用
- 初稿・確認・撮影の日程、修正範囲、公開や再編集の予定
| 項目 | 伝える内容 |
|---|---|
| 視聴者と目的 | 誰に見てもらい、視聴後に何を理解してほしいか |
| 題材と事実 | 商品資料や取材内容、必ず入れたい情報とその根拠 |
| 制作条件 | 公開先、動画の長さ、本数、出演人数、撮影できる場所 |
| 依頼する仕事 | 企画・取材・あらすじ・脚本のどこから相談したいか |
| 進行と利用 | 初稿・確認・撮影の日程、修正範囲、公開や再編集の予定 |
企画から構成・台本までの相談内容は、MdiiiuMの動画企画支援でご案内しています。
まとめ
脚本家は、伝えたい物語を出演者の言葉や動作、具体的な場面として書く仕事です。企業が相談するときも、伝えたい情報と撮影の条件を共有し、あらすじの段階から意図が合っているかを確かめると、原稿を制作へつなげやすくなります。
よくある質問
- 脚本家とシナリオライターは違う仕事ですか?
- 同じ意味で使われることがあります。映画・ドラマ・ゲームなど、扱う分野や依頼内容によって呼び方が異なるため、その人が担当する作品や仕事を確認すると分かりやすくなります。
- 原作がある作品でも脚本家は必要ですか?
- 原作を映像や舞台で表現するには、時間や場面の制約に合わせて構成し直す作業があります。脚本家が担当する場合も、監督などが兼ねる場合もあります。
- 脚本家になるために学校へ通う必要はありますか?
- 学校や養成講座で学ぶほか、公募への応募や自主制作への参加などの方法もあります。学習方法を選ぶ際は、作品への講評を受けられるか、自分の書きたい分野を学べるかも確認しましょう。
- 企画が決まっていなくても脚本の相談はできますか?
- 企画から受ける相手であれば相談できます。誰に見てもらいたいか、伝えたい題材、希望する公開時期を伝え、企画提案を含む依頼範囲を確かめてください。
この記事の監修者

須平 敦宣
株式会社MdiiiuM 代表取締役・放送作家
「めざましテレビ」「ガキの使い」「徹子の部屋」などに携わる放送作家。株式会社MdiiiuMの代表として企業の広報や商品PRの企画を提案しています。
プロフィールを見る監修範囲:脚本家の担当範囲、関連職種との関係、架空の場面例と企業向けの依頼条件。監修日:
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