広報・PR戦略

PR会社の選び方|依頼範囲・担当者・見積もりを比べる確認表

監修 須平 敦宣株式会社MdiiiuM 代表取締役・放送作家
編集 MdiiiuM公開 更新
企画資料と見積もり表、電卓を並べて依頼内容を検討する机

この記事の要点

  • PR会社を比べる前に、企画を考える仕事、日々の広報業務、制作・実施のうち、どこを任せたいかを書き出します。
  • 実績の紹介では、今回の担当者が何を担ったのか、同じ条件で対応できるのかまで確かめます。
  • 見積もりは成果物・自社の作業・別途費用をそろえて比較し、契約前に報告内容と振り返る時期を決めます。

PR会社は、自社が依頼したい仕事に対応し、担当者・費用・進め方を具体的に説明できる会社を選びましょう。そのためには、候補へ問い合わせる前に「誰に何を知ってもらいたいか」と「社内で何ができずに困っているか」を整理する必要があります。

たとえば商品の使い道が伝わっていない場合、必要なのは発信内容を考える支援かもしれません。伝える内容が決まっていても広報担当者が忙しいなら、原稿作成や連絡業務を任せたい場合もあります。同じ「認知を広げたい」という相談でも、発注する仕事は変わります。

この記事では、PR会社との初回相談から提案・見積もりの比較までを、担当者が確認する順番で整理します。比較表や相談メモは説明のために作った架空の例で、実際の契約や成果を示すものではありません。

最初に、PR会社へ任せたい仕事を分ける

広報・PRの支援には、戦略や発信内容を考える仕事、情報を届ける実務、動画やイベントなどを形にする仕事があります。複数を扱う会社もありますが、サービス名だけでは今回の見積もりに含まれる範囲は分かりません。

困っていることから整理する依頼範囲

何を発信すべきか決まらない
相談する仕事
顧客や商品の理解、発信テーマ・企画の検討
提案で確認するもの
調べる対象、打ち合わせの進め方、企画案に含む内容
テーマはあるが広報業務が回らない
相談する仕事
原稿作成、情報提供、問い合わせ対応の支援
提案で確認するもの
作業量、連絡窓口、確認期限、自社に残る作業
企画はあるが実行する体制がない
相談する仕事
動画・イベント等の制作や運営
提案で確認するもの
仕様、担当者、必要な準備、納品物と利用範囲

自社で決めることと、外部へ相談することを書き分ける

商品に関する事実、公開してよい情報、予算や社内の承認者は、自社で確認する必要があります。一方で、誰にどの順番で何を伝えるかは、外部と一緒に検討できます。「広報を全部任せたい」という場合も、資料提供や原稿確認に社内で何日かかるかを伝えましょう。

既存の広告代理店や制作会社がいる場合は、その会社の担当範囲も共有します。同じ動画を二社へ別々に依頼したり、逆に全体の進行を誰も担当しなかったりすることを防ぐためです。

単発の相談と継続支援は、判断したいことに合わせる

発表する商品と時期が決まっているなら、その案件の企画や実施を相談できます。継続して発信テーマを考えたいなら、定期的に企画を検討する進め方も候補になります。契約期間だけで選ばず、打ち合わせの後に何が決まり、どの資料が残るのかを確認してください。

企画が未定の場合は、まず現状の整理と企画案づくりまでを相談し、制作や運用は案が決まってから見積もる方法もあります。この進め方に対応できるか、後工程を別の会社へ依頼する場合の資料利用についても、最初に聞いておきます。

実績の紹介では、今回担当する人の仕事を聞く

事例を見せてもらう際は、今回の相談に近い課題を扱ったものについて、その会社と担当者が何を担ったのかを聞きます。企画から関わったのか、決まった内容の制作を担当したのかによって、参考にできる点が変わります。

作品名や出演者の知名度も参考になりますが、今回参加する人や日程は別に確認が必要です。紹介された協力先がまだ参加を承諾していない場合は、確認する時期と、参加できなかった場合の代案を聞いておきましょう。

担当者との面談で聞く質問

企画を考える人
今回、打ち合わせに参加して企画を考えるのはどなたですか?
実績への関わり方
この事例で担当した工程と、提案後に変更した点を教えてください。
日常の進行
原稿の相談や追加依頼は誰へ連絡し、誰が判断しますか?
協力先の参加条件
制作スタッフや出演者は確定していますか?確認中ならいつ分かりますか?
自社との協働
こちらで用意する資料と、参加してほしい担当者を教えてください。

提案の理由を、自社の条件に戻して確かめる

「動画を作る」「イベントを開く」といった案が出たら、届けたい相手がどこでその内容に接し、何を理解するのかを聞きます。自社が用意できる人物・場所・素材で実施できるか、公開日から逆算して確認や撮影に間に合うかも確かめます。

たとえば終了済みのイベントについて提案を受けた場合は、当時の記録が残っているか、追加で何を撮れるかが条件になります。まだ使えるか確認していない映像や人物を前提に進めず、調査後に企画を決める段階を設けると、発注後の行き違いを減らせます。

自社の題材をどう企画にするか、どの仕事から依頼するかを整理したい方は、MdiiiuMの顧問相談をご覧ください。放送作家やプロデューサーの企画経験をもとに、課題と実施条件を伺いながら相談内容を検討します。

見積もりは、納品物と自社の残作業をそろえて比べる

総額を比較する前に、それぞれの案で何が完成し、その後に誰が動くのかを書き出しましょう。企画書を受け取る費用と、企画を実施して報告を受ける費用は、同じ項目として比べられません。

ここでは、発売済み商品の使い方を伝えたい食品メーカーが、二つの提案を受けた架空の例で考えます。自社には商品資料と写真があり、追加の撮影については場所や日程の確認が必要という設定です。

依頼範囲が違う2案の比較例(架空)

企画
A案:企画検討まで
資料を読み、用途を伝える切り口と実施案をまとめる
B案:企画と発信実務
企画検討に加え、発信する順番と担当を決める
成果物
A案:企画検討まで
企画書と、追加で必要な素材の一覧
B案:企画と発信実務
企画書、合意した本数の原稿、連絡記録と報告資料
自社に残る作業
A案:企画検討まで
企画採用後の制作手配、原稿作成、情報提供
B案:企画と発信実務
商品情報の確認、写真の利用確認、原稿承認、取材への回答
別途確認する費用
A案:企画検討まで
撮影・制作・配信など実施にかかる費用
B案:企画と発信実務
撮影、広告出稿、外部サービス利用料が含まれるか
開始前の確認
A案:企画検討まで
企画書の内容と検討回数、納期
B案:企画と発信実務
各作業の量・担当・期限、報告内容、追加対応の条件

「一式」と書かれた費用は、作業量と変更条件を聞く

原稿作成なら本数・長さ・修正の範囲、動画なら尺・本数・撮影条件など、見積もりの前提を確認します。撮影費や出演料、交通費、配信料などが含まれるかも、費目ごとに記載してもらいましょう。

日程変更や追加の素材制作が起きた場合、誰が再見積もりを出し、どの時点で費用が確定するのかを聞いておきます。継続契約なら最低期間、更新の方法、終了時に受け取る資料も比較表へ記録すると、社内で判断しやすくなります。

予算が合わないときは、優先する仕事から組み直す

上の例で自社に原稿作成や連絡を担当できる人がいるなら、A案から始められるかもしれません。担当者がいないなら、A案の契約後に追加の手配が必要です。初期の金額が小さくても、全体で必要な費用と社内の作業時間を確認して判断しましょう。

予算内に収まらない場合は、対象者を絞る、発信する本数を減らす、既存の写真を使うなど、目的を保ちながら範囲を調整できるか相談します。費用を下げても、何を検証する企画なのかが残るようにしてください。

成果の確認方法と、次に判断することを決める

提案段階で、実施する作業と、その結果として確認する変化を書き分けます。原稿の作成本数や情報提供の件数は活動の記録です。伝えたい内容が掲載されたか、対象者から問い合わせがあったかなどは、別に確かめる必要があります。

開始前の状態と、確認に使えるデータも共有します。過去の問い合わせ内容やサイトの計測がない場合、終了後に正確な比較をするのは難しくなります。何を集め、誰が報告し、いつ企画を見直すのかを先に決めましょう。

報告で確認したい内容の例

情報が届いたか
記録する内容
掲載先、掲載内容、確認できる閲覧・反応
次の判断
届け先や説明の仕方を変えるか
理解につながったか
記録する内容
寄せられた質問、対象者への聞き取りで分かったこと
次の判断
説明が足りなかった点を補うか
行動につながったか
記録する内容
問い合わせ、資料請求など確認できる行動と経路
次の判断
案内するページや相談導線を直すか

予測数値には、使ったデータと条件を添えてもらう

再生数や問い合わせ数の予測が示されたら、同じ条件の実績に基づくのか、広告配信を含むのかを聞きます。出演者のフォロワー数を合計しても、全員が動画を見る人数にはなりません。提案の数値を社内資料へ移すときも、前提と確認できていない点を併記してください。

テレビ取材や記事掲載を提案された場合は、実施する情報提供と、媒体側の判断で決まる掲載を分けて確認します。広告枠の購入を含む提案であれば、その費用と表示の扱いも確認しておきましょう。

初回相談には、共通の依頼メモを渡す

ノートを手元に置き、パソコンで情報を確認する担当者のイラスト

候補の会社には同じ条件を伝えると、提案を比べやすくなります。立派な資料を作る必要はありません。次の項目を埋め、分からないことは「未定」と書いて相談してください。

予算も金額を決め切れない場合は、企画費と制作・配信費を分けて知りたいのか、実施に必要な総額を知りたいのかを伝えます。初回提案で必要な資料と、その提案自体に費用がかかるかも確認しておきましょう。

発売後PRの相談メモの例(架空)

困っていること
商品は発売済みだが、どんな場面で使えるのかが伝わっていない
届けたい相手
日々の調理に手間を感じている人。優先する層は相談したい
期待する変化
使い方を理解し、商品ページで詳しく調べてもらいたい
使える素材
商品資料・写真あり。過去のイベント映像は保有と利用条件を確認中
時期・予算
実施希望時期と承認期限を記載。企画費と実施費を分けて相談したい
社内体制
広報担当が窓口。商品の説明は開発担当、最終承認は事業責任者
提案で知りたいこと
企画の理由、担当者、必要な準備、総費用、報告の内容

発信テーマや外部へ任せる範囲から相談したい場合は、MdiiiuMの継続的な企画・PR相談で支援内容をご確認ください。現在の資料と社内で決まっている条件を伺い、相談の進め方をご案内します。

まとめ

PR会社を選ぶときは、自社に必要な仕事を定め、担当者と実施条件を確認したうえで提案を比べましょう。企画案・見積もり・報告の内容を同じ項目で並べると、任せる作業と社内に残る作業を説明できます。分からない条件は契約前に質問し、回答を記録してから判断してください。

記事からの相談

企画・PRの個別相談・顧問

MdiiiuMでは、企業の商品や事業について、誰に何を伝えるか、どのような企画を実施するかをご相談いただけます。商品資料やこれまでの取り組み、社内で対応できる作業を伺い、企画・PRの相談範囲をご提案します。制作や実施が必要な場合は、内容・体制・日程を確認して検討します。

よくある質問

PR会社と広告代理店は、どちらに相談すればよいですか?
会社の名称に加え、依頼したい仕事への対応範囲で判断します。発信内容の企画、媒体への情報提供、広告出稿、制作など、必要な作業を挙げ、今回どこまで担当するかを各社へ確認してください。
小規模な会社でもPR会社に相談できますか?
企業規模だけでなく、課題と予算、社内でできる作業を伝えて対応できる範囲を確認します。継続支援が必要か、まず企画の整理など単発の相談から始められるかも聞いてみてください。
費用が安いPR会社を選んでも大丈夫ですか?
費用に含まれる作業と、別途必要な支出をそろえて比較しましょう。原稿の本数や修正、制作・配信費、自社に残る作業によって必要な総費用は変わります。金額だけでは今回の目的に合うか判断できません。
取材や掲載を保証してくれる会社を選ぶべきですか?
保証の対象と条件を確認してください。媒体が編集判断で掲載するものか、広告枠などを購入するものかで意味が異なります。支払う費用、実施する作業、掲載されなかった場合の扱いを分けて説明してもらいましょう。
企画が決まっていなくても相談できますか?
企画の検討から対応する会社へ相談できます。現在の課題、届けたい相手、商品資料、希望時期と予算を共有し、調査や企画案づくりまでの費用・成果物・進め方を確認してください。

この記事の監修者

放送作家の須平敦宣

須平 敦宣

株式会社MdiiiuM 代表取締役・放送作家

1971年生まれ、三重県出身。早稲田大学を卒業後、放送作家事務所「オフィスぼくら」に所属。

「ジャングルTV」「発明将軍ダウンタウン」「ガキの使いやあらへんで」「元祖!でぶや」などのバラエティ番組から、「TVタックル」「めざましテレビ」「ノンストップ!」などの情報番組、ドキュメンタリーまで、手がけた番組は500本を超えます。

テレビ界で25年にわたり培った「人が面白がるものを生み出す」という放送作家の発想術を、多方面で活かす頭脳集団「ジヴェルニー」を創業。現在は株式会社MdiiiuMの代表取締役として、企業の企画・PRをはじめ、多数のプロジェクトに携わっています。

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