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広報の年間計画の立て方|準備期限と担当者まで決めるカレンダーの記入例

編集:MdiiiuM / 監修:須平 敦宣

公開 / 更新

マス目のある計画用紙に色付きの付箋を配置した机
マス目のある計画用紙に色付きの付箋を配置した机(AI生成イメージ)

この記事の要点

  • 広報の年間計画には発表日だけを書くのでは足りません。材料集め、初稿、承認、振り返りの時期と、作業ごとの担当者と判断者も書き込みます。
  • 発信の材料は、発売、展示会、採用、周年など自社の事業予定から集めます。日程が確定した予定と、延期の可能性がある予定は分けて管理します。
  • 急な取材への対応も考えて、予定を詰め込みすぎないようにします。毎月の打ち合わせで進捗と期限を確かめ、担当の調整や延期、中止を判断します。

広報の年間計画を立てるときは、発表日に加えて、材料を集める時期や社内の確認日程も決めておきましょう。新製品や展示会の予定をカレンダーに書き込んでも、準備の時間が抜けていると、発表直前に作業が集中してしまいます。

この記事では、事業予定から発信の材料を集め、四半期ごとの見通しと月ごとの作業にまとめる手順を解説します。架空の業務用調理器具メーカーを例に、担当者や承認期限を書き込んだ計画表も紹介します。

年間計画には発表日と準備の予定を入れる

広報の年間計画は、会社が1年間に何を、いつ、誰に向けて伝えるかを決める予定表です。その準備をいつ誰が進めるかまで書いておきます。発表日だけを並べた表では、資料作成や取材準備が直前に集中し、社内の承認待ちで発表が遅れることがあります。準備に必要な期間と担当者を同じ表に書いておけば、他部署に協力を頼む時期も前もって伝えられます。

広報支援サービスのネタもとは、情報を準備する予定と発信する予定を並べ、経営者と計画を振り返る進め方を紹介しています。この記事の計画表にも、準備、発信、振り返りの予定を入れます。

表を作る前に、広報の目的と今年の優先課題を経営層と確認します。たとえば「新製品を取引先の飲食店に知ってもらう」「採用の応募者に事業内容を理解してもらう」のように、誰に何を伝えたいかを書いておきましょう。目的が決まると、複数の発信予定が重なったときにも優先順位を付けやすくなります。

計画の期間は年度の初めから始める必要はありません。年度の途中で担当になった場合は、作成した月から向こう12か月を対象にします。そうすると、直近の発表と、来年の同じ時期に必要な準備を一つの表で見渡せます。

出典:ネタもと:広報活動スタートの年。目標設定をどう決める?

事業予定と発信に使える材料を集める

年間計画の材料は、広報担当者が一人で考えるより、各部署がすでに持っている予定から集めるほうが確実です。新製品の発売、展示会への出展、採用活動の開始、創業の周年、拠点の開設などは、日程が先に決まっています。社外に伝える理由もはっきりしているため、計画の柱にしやすい材料です。

AdverTimes.の矢嶋聡氏による解説では、計画を立てる前に経営や事業の情報を把握し、社外からの見え方を確かめることが勧められています。自社の予定と合わせて、取引先から寄せられる質問や報道の内容にも目を通しておくと、今どの情報を伝えるべきかを考えやすくなります。

季節の記念日や世の中のイベントを使えるのは、自社の製品や事業と関係がある場合です。業務用調理器具のメーカーであれば、取引先の飲食店が集まる業界の展示会は関係がはっきりしています。一方で、関係の薄い記念日に合わせて話題を作ると、記者や読者にその時期に伝える理由を説明しにくくなります。

集めた予定は三つに分けて記録します。日程が確定しているもの、時期は決まっているが日付が未定のもの、延期や中止の可能性があるものです。未確定の予定にも準備の作業を書いておけば、日付が確定した時点で締め切りを入れるだけで済み、決まってから準備を始める事態を避けられます。

各部署に予定を聞くときは、次のような質問を送ると回答をもらいやすくなります。

  • 向こう12か月で発売、改良、販売終了を予定している製品やサービスはありますか
  • 出展を予定している展示会や、社員が登壇するセミナーはありますか
  • 採用の募集開始、入社式、社内制度の変更など人事の予定はありますか
  • 周年、拠点の開設や移転など、会社として節目になる予定はありますか
  • それぞれの日程は確定していますか、延期の可能性はありますか

出典:AdverTimes.:広報のプロが「広報計画」を立てる前に必ずやっていること

年間の見通しを四半期ごとに立てる

集めた予定を12か月の表にいきなり並べると、細かな作業ばかりに目が向きます。その結果、その年に何を優先するのかが見えにくくなります。そこで先に四半期ごとに、発信の目的、中心となる出来事、必要な準備、担当者を決めておきます。そうすれば、月ごとの計画を立てるときに迷った作業を、どの四半期の目的に役立つかで判断できます。

ここからは架空の業務用調理器具メーカーA社を例に説明します。A社は4月始まりの会計年度で、広報は総務部の担当者1人が兼務しています。今年度は10月に省スペース型の業務用フライヤーを発売する予定があり、翌年度には創業30周年を迎えます。

次の表では、第4四半期の1月に新しい発表を入れていません。予定のない月を記念日の話題で埋めるより、その時間を取材対応や次年度の計画づくりに回すほうが、兼務の担当者にとって無理のない計画になります。

架空のA社(業務用調理器具メーカー)の四半期別の広報計画例

第1四半期(4〜6月)
発信の目的
採用の応募者と取引先に事業内容を伝える
主な出来事
新入社員の入社、前年度の実績確定
準備すること
会社紹介資料と採用ページの数値・写真を更新する
担当者と判断者
作成は広報担当、素材提供は人事、承認は総務部長
第2四半期(7〜9月)
発信の目的
新製品の発表に向けて材料をそろえる
主な出来事
9月の業界展示会に新製品を参考出品
準備すること
仕様と試験結果の収集、プレスリリースの初稿、展示会の配布資料
担当者と判断者
作成は広報担当、技術確認は開発部、承認は社長
第3四半期(10〜12月)
発信の目的
新製品を取引先と業界メディアに知らせる
主な出来事
10月の新製品発売
準備すること
リリース配信、業界紙への情報提供、11月の振り返り
担当者と判断者
配信は広報担当、取材の説明は開発部と営業部、承認は社長
第4四半期(1〜3月)
発信の目的
周年の準備と次年度の計画を進める
主な出来事
決算前の繁忙期、30周年に向けた社内準備
準備すること
周年で伝える内容の候補出し、次年度の年間計画案の作成(1月は新しい発表を入れない)
担当者と判断者
作成は広報担当、承認は社長

発表日から逆算して月の作業を決める

月ごとの計画用紙と赤い紙の目印、ペンを並べた机
月ごとの計画用紙と赤い紙の目印、ペンを並べた机(AI生成イメージ)

四半期の見通しができたら、主要な発表ごとに発表日から逆算し、各月に終える作業を決めます。準備にかかる期間は会社ごとに違い、社内承認の段数、技術や法務の確認の有無、写真撮影の要否などで変わります。業界で決まった日数があるわけではありません。前回の発表で実際にかかった期間を基準にするのが現実的です。

A社の新製品では、10月の発売日を起点に作業を割り振ります。8月に材料を集め、9月に初稿を作って承認を得ます。10月に発信し、11月に結果を振り返ります。

10月発売の新製品で月ごとの作業を割り当てる

表の各月には、その月のうちに終える作業を書きます。終える月が決まっていれば、他部署に材料を依頼する日も逆算できます。A社では9月に展示会の準備も重なるため、初稿を9月の前半に仕上げる計画にしています。

架空のA社が10月発売の新製品で進める月別作業の例

8月
その月に終える作業
仕様、価格の公表範囲、製品写真、開発の経緯を集める
担当者
広報担当(開発部と営業部が材料を提供)
判断者
価格の公表範囲は営業部長
9月
その月に終える作業
リリースの初稿を作り、技術表記の確認と社内承認を得る。展示会の配布資料も同じ内容にそろえる
担当者
広報担当、技術表記の確認は開発部
判断者
発表内容の最終承認は社長
10月
その月に終える作業
発売日にリリースを配信し、業界紙からの問い合わせと取材に対応する
担当者
広報担当、取材での製品説明は開発部
判断者
取材を受けるかどうかは総務部長
11月
その月に終える作業
掲載状況、問い合わせ、営業担当者が聞いた反応を記録し、次の発表に必要な準備期間を見直す
担当者
広報担当
判断者
振り返りの内容は社長に報告

作業ごとに担当者と判断者を分けて書く

担当者は作業を進める人で、判断者は内容や実施の可否を決める人です。兼務の広報担当者が両方を抱えていると、価格を載せるか、取材を受けるかといった判断が出るたびに作業が止まります。そのまま締め切りを過ぎても、誰も決めていない状態が起こりかねません。

判断者は、決める内容ごとに名前を書きます。A社の例では三つに分けています。価格をどこまで公表するかは営業部長、技術の表記が正しいかは開発部、発表してよいかの最終判断は社長です。判断者が出張や繁忙期で不在になる時期に締め切りが重なる場合は、代わりに判断する人も計画の段階で決めておきます。

兼務でも続けられる量と予算に調整する

計画表ができたら、担当者が実際に使える時間と予算に収まるかを見直します。兼務の広報担当者は本来の業務と並行して作業するため、すべての月に発表を入れると、どこかで準備が追いつかなくなります。主要な発表を先に確保し、それ以外の発信は時間に余裕がある月に回すと、計画全体が崩れにくくなります。

突発の取材対応と予定変更に備える

年間計画には、予定外の仕事に使う時間も含めておきます。記者からの問い合わせ、取引先から頼まれる事例紹介への協力、社内で急に決まった発表などは、事前に日付を決められません。毎月の作業量を目いっぱいにせず、こうした対応に使える時間を残しておきます。年間の例で1月を空けたのも、その余力を確保するためです。

発売日の延期などで予定が変わったときに、誰が計画の変更を決めるかも決めておきます。A社では、発表日の変更は社長が決め、準備作業の順番の入れ替えは広報担当者が決めることにしています。決める人がはっきりしていれば、延期の連絡を受けた広報担当者がすぐに関係部署へ新しい締め切りを伝えられます。

外部に頼む範囲と見積もりの条件を決める

社内だけで回らない作業は、外部への依頼を検討します。リリースの企画や構成の相談、写真撮影、配信作業など、どの作業を頼むかを分けて書き出しておくと、依頼先ごとの見積もりを比べやすくなります。

見積もりを依頼するときは、条件をそろえて伝えます。伝える内容は、対象とする発表の数と時期、成果物の種類、社内の確認にかかる期間、想定する修正の回数です。条件をそろえずに依頼すると、依頼先ごとに想定する作業の範囲が違い、金額だけを比べても判断できません。予算の上限と社内に残す作業も先に決めておけば、依頼先との打ち合わせで具体的な分担を話し合えます。

年間計画で優先する発表の選び方や、発表ごとの切り口を定例の打ち合わせで相談したい場合は、MdiiiuMの顧問相談をご覧ください。

毎月の打ち合わせで計画を書き換える

年間計画は作った時点の見通しにすぎないため、毎月の打ち合わせで実績と比べて書き換えます。打ち合わせでは、その月に予定していた作業と実際に終えた作業を並べます。終わらなかった作業には、着手できなかった理由を書きます。「材料が届かなかった」「承認者が不在だった」のように理由が具体的に残っていれば、次の発表で同じ遅れを防ぐ方法を考えられます。

予定どおりに進んでいない作業は、期限と目的を確かめて対応を決めます。発表日や取引先との約束を動かせない場合は、他の作業の延期や応援の依頼を検討し、期日までに終える方法を決めます。期限を変更できる作業を翌月へ移す場合も、担当者の作業時間に収まるかを確認してください。発表の目的がなくなった作業は、中止や内容の変更を検討します。

打ち合わせの記録は、経営層に広報活動を説明する資料にもなります。月ごとに残すのは、発信した内容、記者や取引先からの反応、計画を変えた理由です。短くまとめておけば、年度末にまとめて振り返る手間が減ります。次年度の予算や人員を相談するときにも、記録を説明の材料として示せます。

まとめ

広報の年間計画は、表の形を整えることより、各部署の予定を早く集めることで実際に使える計画になります。まずは第2章の質問を各部署に送り、返ってきた予定を確定しているもの、日付が未定のもの、延期の可能性があるものに分けて一覧にしてください。その一覧があれば、四半期の目的と発表日からの逆算に進めます。

よくある質問

広報の年間計画は誰に承認してもらえばよいですか?
計画全体は、広報の予算や人員を決められる立場の人に確認してもらいます。ただし、計画の段階で承認を受けるのは、目的、主要な発表、担当の割り振りまでにします。個々のリリースの文面は発表ごとの承認で確認するようにすると、計画の承認が細部の議論で止まりにくくなります。
発信できる材料が少ない年は、どう計画すればよいですか?
予定がない月を無理に埋める必要はありません。各部署と一緒に、社外に伝える理由がある題材を探します。たとえば既存製品の使われ方の変化、社内の新しい取り組み、会社紹介資料や採用ページの更新などです。それでも材料が少なければ、その時間を翌年の発表に使う素材づくりに充てる計画にできます。掲載の許可を得た取引先の声の収集や、製品写真の整備がその例です。
年間計画はどんなツールで管理すればよいですか?
表計算ソフトや、社内で共有しているカレンダーで管理できます。選ぶときは、関係部署が同じ最新版を見られるかどうかと、変更した日と理由を残せるかどうかを基準にすると、毎月の見直しで混乱しにくくなります。専用の管理ツールは、発表の数や関わる人が増えてから検討しても遅くありません。
事業計画が年度途中で大きく変わったら、年間計画は作り直すべきですか?
表全体を作り直すより、変更の影響を受ける四半期の目的から見直すほうが手間を抑えられます。発売の中止や大幅な延期があった場合は、その発表に向けて準備していた素材のうち、ほかの発表に使えるものを確認します。そのうえで残りの月の作業を組み替えます。変更前の版は消さずに保存し、変えた理由を記録しておくと、年度末の振り返りで経緯を説明できます。

出典・参考資料

記入例・比較表は、考え方を説明するための編集例です。実際の案件や成果を示すものではありません。

この記事の監修者

放送作家の須平敦宣

須平 敦宣

株式会社MdiiiuM 代表取締役・放送作家

「めざましテレビ」「ガキの使い」「徹子の部屋」などに携わる放送作家。株式会社MdiiiuMの代表として企業の広報や商品PRの企画を提案しています。

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監修範囲:本文・作例・支援範囲を含む今回の原稿について、2026-10-14に須平さんの監修済みとユーザーが確認。。監修日:

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企画・PRの個別相談・顧問

MdiiiuMでは、定例会議での顧問相談を通じて、年間計画で優先する発表の選び方を一緒に検討します。商品やサービスを伝える切り口、発信方法、配布資料の考え方も相談でき、契約の範囲内で企画を提案します。相談の際は、各部署から集めた向こう12か月の事業予定、作成途中の年間計画表、過去に出したプレスリリースや会社紹介資料をお持ちいただくと、具体的な話から始められます。

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